【熊野通信】その弐拾九 《自らの時間を見直す》
 いよいよ誰の目にも明らかになってきた地球環境温暖化による異常気象。わずかな気温の変動によって、世界の生態系の精妙なバランスが崩れる事は、昨今のテレビや映画の科学的な資料データで、皆さんの知るところとなってきています。今日からでも、私達が生かされているかけがえのない地球の生態系を失わないためにも、まず自分から時間の意識と行動を変えていきましょう。
●自らの時間のリズムを見直しましょう!
 紀元前3,000年の日時計からはじまる時計の歴史は、私達人類の歴史とも言えます。その時計はとても便利に人の手で改良され、全世界を一つにする一定の時計を決めて、それぞれの国の人が、自分の都合や利害に合わせて現在まで用いて来ました。中でも人間が進化することによりその時計が刻むスピードを、どんどん速めてきたのです。
 しかし、その元は、朝になれば太陽が上がってきて明るくなり、昼を過ぎて夕暮れに陽が沈んだら闇が訪れる・・・当たり前であり、自然はただそれだけの事なのです。今起こりつつある深刻な環境問題は、この自然の時計と人間の勝手な時計の狂いの結果であり、現象としては、季節つまり気温変化という時計が狂い出すことにより現れます。この時計は、地球上の精妙な生命連鎖で生きる生物すべての、森羅万象を育み生かす働きを持っているのです。狂った時計を自然のリズムに戻す生き方・・生態系にとって、とても切実なことなのです。
●自らの行動を疑いましょう・・!
 では、なぜそのようにスピードアップするのでしょう?より速くより強く・・過去人間が歩んできた文明の道は、自分以外の他者と競争・戦争・紛争・闘争・論争などの争奪の歴史なのでした。それは他者に勝つため!「人に認められたとか・認められなかったとか、自分にとって都合が良いとか・悪いとか、うまくいったとか・失敗したとか、また自分の思うとおりになったとか・ならなかったとか・・・挙げれば切りがありません。そうした自分だけ特別と言う、自我意識の心地良さだけにとらわれて、一喜一憂していませんか?他者の立場を忘れてイイとこ取りをしてませんか?我良しがはびこる結果として、今地球環境からひとり一人の生き方が迫られているのです。
●そして、もう時間はありません・・!
 日常のあなたの生活のすべての瞬間で、広く等しく大切に、小さな自我にとらわれず、生態系や地球を思える感覚こそ大事なのです。以前にもお話ししました熊野の世界的エコロジスト・南方熊楠の「もう、時間がありませんよ!」と言う声が聴こえてきます。さあ、自らの時間を見つめ直し自然に添ったライフスタイルに戻しましょう。
NPO法人 熊野生流倶楽部 代表 満仲雄二
その弐拾八          その参拾→