前回は、私たちの過ぎたる文明の考え方を見直す意味でも、数千年の智慧の詰まった紀伊半島に身を置いて、大自然から遊離した生き方を見つめましょうと言うお話を しました。
光陰矢の如し
もうすぐ、あの未曽有の大震災・大津波から、はや一年になろうとしています。何が起こっても不思議じゃなかった、年回りの昨年の「辛い卯年」から、節分を機に今年は 「壬(みずのえ)の辰年」に入りました。辰は、まさに振動・振幅・震撼につながる、世の中の揺れを表わしています。
刻一刻と迫る文明の危機。起こっている事を風化させずに、その奥底にある意味を、一人ひとりがしっかり捉える時到来となっています。
前代未聞の火の無い火祭り
過日、立春明けの2月6日に行われた、熊野・神倉神社の勇壮な火祭り「お燈祭り」は、前代未聞の「火が点かない闇の火祭り」になり、松明の迎え火で温かい春を呼ぶことが出来ませんでした。
今まで30年近く、同じ時刻に同じ場所に立って、寒風に包まれ黒潮の海で禊ぎをし、毎年同じ装束に荒縄を腹に巻いて闇の石段を駆けて、神倉山に火を点けに上がっていますが、この異変の予兆は「子年を中心にして前後五年」・・・つまり、すでに十年前の羊年の2003年から始まっていたのです。
火水(かみ)から水火(みか)への転換
火・太陽に象徴される「干ばつ」「猛暑」「噴火」、水・月に象徴される「大雨・洪水」「大地震・津波」「台風・山崩れ」「大寒波」の数々の異変の兆しは、来たるべき時への心構えを伝える ≪大自然からの転換のサイン≫ でした。
これを警告と捉えるも、優しい思いやりと捉えるも、受ける私たちの心持ち次第なのです。ただ今まで当たり前になってしまっていた、「火」と「水」の大いなる仕組みが数千年の時を経て、元へ戻そうとバランスを取っているだけなのです。今一度心のバランスを取り直しましょう。