【熊野通信】その参拾壱 《自らを生き抜く》
 前回は、今地球的規模で起こっている生態系の変化が他人事ではなく、切実に私達ひとり一人の今日・明日の生き方の問題であり、そのことを自覚するためにも、自分の人生に封印された宿題に気付きましょう!と言うお話しをしました。なかなかその宿題すらも気付きにくいのですが、一番の近道は、毎日呼吸をするように止まることなく、自らを顧みて行いを変え続けることなのです。
●自分の人生は、誰が封印しているのでしょう?
 誰しもが「私こそは・・我こそは・・!」と思っていがちです。自分が今までいろいろと苦労してきたとか、さまざまな勉強をして知識を身につけたとか、経験が豊富で世の中を知っているとか。確かにそうかも知れませんが、それは私たち一人の話しでしかないのです。十人十色と言うぐらい世の中は広く、自分はその一色であるかも知れないのです。自分の色で、一生懸命に他の人を染めようと思っていませんか?その色が邪魔になって、素直に白紙になれず、他の人の良いところを受け入れ共生することができないのではないでしょうか?
その色こそが、自分の人生を封印している自我そのものなのです。
●便利な道具で失う大切なモノ・・!
 そのような私達ひとり一人の自我意識の集合体が地球人類ですが、より便利により快適にと、私達人類の自我のままの色で、この地球環境を染めてきたのです。さらにますます加速度的に進化する情報化の波は、後数年でIT技術が飛躍的に発達して、いつでも・誰でも・どこでも情報を引き出せる、ユビキタス(あまねく存在する)超情報化社会が到来すると言われています。現在すでに日本では、幼い子供
も大人も高齢者も、世の大半の老若男女が、至る所で携帯電話の情報とにらめっこしています。
 確かに携帯電話は大変便利なモノですが、あまりにもモノの見方や考え方・とらえ方を近視眼的・即物的にしてしまい、より自己中心になり自我意識を助長していないでしょうか?・・昔から道具が賢くなる分、人間が無能になると言われています。
●自分を生き抜く責任と誇り!
 片やこのところ十数年、自分とはどんな人間なのか?と探し求める「自分探し」と言う風潮があります。自分探しとは自立共生への第一歩であり、一人前の人類への出発点なのです。しかし人類は「自分勝手に生き抜く」事ばかりではないでしょうか?これを果たさなければ一歩も人類は「自らを生き抜く」ことができにくくなります。自分を見つめ人類の光を見いだし、生き抜いて自立共生を輝くモノにするか?自分を他に委ねて支配され抑圧されて、他律的な生態系破滅にするか?これもひとり一人の意識によって決まる事なのです。浮わっついた甘えの価値観の上では、他の誰を責めても始まらず、しっかり地球人類として「自覚し生き抜く」ことが求められています。
●今とここに生きるために・・!
 そのためにも、自分自身の本質を熟知し常に磨き、幾多の困難を乗り越え、そして強くたくましく「自らを生き抜く」・・さあ、皆さん家ではできるだけ携帯の電源を切り、外界に気を囚われずしっかり自分の根っこを見つめましょう!
NPO法人 熊野生流倶楽部 代表 満仲雄二
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