【熊野通信】その弐拾七 《自らの核心を見つめて》
 昨年は、生命の安全を覆す耐震構造疑惑事件で年が明け、生命の根っこが揺れはじめてから日を追うに連れ、子供の虐待や陰湿な殺人事件、核の脅威やいじめ自殺の多発など「命」と言う字が、一年間を象徴する漢字に選ばれるなど、生命の根っこや在り方が問われたように感じます。
●自然の運行に根ざした生き方を・・!
 確かに暦の上では「2007年の新年」を迎えました・・・が、これは今からわずか133年前に、わが国が西洋から導入した太陽暦の上でのお話しなのです。本来の日本の旧暦(太陰暦)では、元旦は未だ11月13日に当たります。地球は一つ、世界は一つとばかりに全世界の時計が一律に統一され、今まで先人が二千年近く愛用してきた自然に添った大事な本来の暦を忘れがちな私たちは、本当に自然の流れに学ぶ生き方や生活文化を楽しむ感性を維持できているのでしょうか?自然から遠く離れてしまい、自らを見つめる力を失った私たちの現代社会は、今どのような現実をもたらしているのでしょうか?今一度身の回りの出来事を思い起こしてみましょう。
●「亥」年には、自らの「核」を創ろう・・!
 今年は十二支の十二番目の「亥」年で、時刻では午後十時前後に当たります。来年一巡する新しい「子」年に向かって、猪突猛進(妄心)で突き抜け切るのか?今一度立ち止まって、足元根っこを見つめ直すのか?は自由ですが、「亥」の持つ意味は、骸(骨組み)が出来上がると言う、自然が循環して再生に向かう意味を持っています。さらに「核」と言う字は、物事の固い芯や物事の中心を表し、実の中心にある固い種(=次の生命の可能性)を宿している事を指しているのです。
 植物も人間も同じで、根本からしっかりとしたエネルギーを吸収し、種である核が時を得て、芽を出して芯のしっかりした樹木を育てます。そのように自然の流れに添って、自らの根本に目をやって「核」を創り、綺麗な花や美味しい実を咲かせていきたいものです。
●熊野流の自らを見つめる三つの法則
 熊野は古来「根の国」と呼ばれていますが、私たちが日常生活を行う上での、モノの見方や生き方を教えてくれています。その一つは、モノを目先で見るのと、長い目で見るのと両方の視点で見る必要があると言うことです!また、物事を一面的に見るのと、多面的・全面的に見るのとは、結論が正反対になったりするのです。さらに、出来事を枝葉末節で見るのと、根本的に見るのとでは、対処法が変わっ
てくるのです。さて、そのような「亥」年に、あなたはどんなユニークな「核」を創りますか?
NPO法人 熊野生流倶楽部 代表 満仲雄二
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