その伍拾弐 流動・・滝の教え
【流動・・滝の教え】
 前回は、揺るぎなく大地に根ざした樹木の根っこに学び、人生堂々巡りにならないように・・とお伝えしましたが、今回は常に流れ続ける「滝」に学びたいと思います。


那智の滝
●熊野名瀑・・・那智大滝
 熊野三山のひとつ那智山は、古来から聖域とされており、高さ133mもある那智の滝は、 千手観音の姿とも言われています。この那智の大滝は日本で三番目に高いのですが、世界 にはエンジェルの滝(ベネズエラ)と言うもっと凄い滝があり、落差が何と979mと六甲 山(932m)より高いものもあります。
  滝壷のすぐそばの那智飛瀧神社に立ってみると、天空から流れ落ちる水の轟音とともに 霧のような真っ白な水の飛沫に包まれ、ふと!視界がさえぎられ足元から重力を失ったよ うな感覚に陥り、意識が宙をさまよい始め、魂が浄化されるような気分になります。 ※但し、滝壺に落ちないように気を付けて・・(笑)昔から自然の瀧を畏敬の念をもって 神様(水神・龍神・弁天様)の住む聖なる場所として、人々が信仰の対象にした神秘性を 確かに感じるものです。
●ほとばしる永遠の生命・・!
 滝の語源は「タギ」「タギル」と言い、神話にも「タギツヒメ」という水の女神といっ たイメージの名前も見られます。この「タギ」は、水がほとばしって流れ出て来る有りさ まを表しています。
 元はと言えば、岩や大地からしみ出て来る一滴の雫。そして「水がただ上から下へ次々 と止まらず流れ落ちているだけ・・」こんな単純な大自然に、過去から現在、そして未来 へ永遠にほとばしる生命感を見い出し、自然を畏敬する素朴な想いが、人々の心の根底に あったのだと思います。
●流れへの期待と希望・・!
 滝はその流れ落ちる力強い躍動感で、見ている者を感動させているだけでなく、岩をも 砕く驚異的なパワーや流れのダイナミズムは、モノを生み出し育む力を潜在しているよう に見えます。次々と砕け散って流れる水そのものは「生命の源」つまり「自分の人生」 そのものとも感じられ、生命の流れに任せながら大河をめざして、ただありのままに生き ていくことを教えているようです。
 滝をよ-く見ていると、落下する水の流れの背後の絶壁に気付きますが、水流によって それは隠されています。この水すだれの向こう側には、何か別の世界があるかも知れない ようなインスピレーションが働いてくるものです。
  滝の前に佇むだけで、普段の迷いや悩みの心が洗われ「もう一つの扉」を見つけるきっ かけがあるかも知れません!・・・滝にぜひ心をほぐしてもらいましょう。

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