その五拾壱 根本・・樹木の教え
【根本・・樹木の教え】
 丑年の「丑」と言う字は、糸偏を付けると「紐」と言う字になり、生命を孕んだ種からまず命の根っこ・・つまり紐状のモノが出てくることを表しているのだと、前回お伝えしましたが、その「紐」は将来成長するための根源的な役割を担っているのです。


根本・・樹木の教え
●根腐れ・根枯れの現代社会・・!
 最近、パソコンや携帯電話・携帯メールが飛躍的に発展し、以心伝心に近いその恩恵を多くの人が利用しています。確かに便利!しかしあまりにも、簡易に安易に相手に伝わるこれらの文明の利器は、私たちから人間関係の根本を失わせています。
 見つめている発光画面は、微妙な色彩感覚を狂わし始め、相当な近視眼になっていないでしょうか?物事を深く静かに見つめたり考えたりせず、反射的に相手とのコミュニケーションを取っていないでしょうか?一見情報化社会の花が開いているように見えますが、その根っこにある、人と人の関係性や信頼性、さらにその奥底にある礼儀や作法などのコミュニケーションの基本的な秩序が、ジワジワと蝕まれてきています。目に見えない根っこが、文字通り本当に見えなくなっているのです。
●根の国:熊野の教え・・!
 樹木は、地表に見えている枝や葉っぱ、花や実を付けた幹が空へ広がっていくのと同じくらいの根っこを、その大地に深く伸ばしています。どんなに凄い風が吹いてきても、風をしなやかに受け流しながらも、根は揺るぎなく大地に根ざし樹木を支えています。また、大火に遭って樹木が焼けてしまっても、幹や枝が伐られてしまっても、根っこさえあれば必ず時間を経て新しい芽が出てきます。
 熊野古道を歩いていると、道端の樹木達が話しかけてきます。いかなる試練や苦難に出会っても、この大自然の理(ことわり)の一つ「樹木の教え」に沿って生きていけば、決して未来への希望を失わないと!
●根無し草にならないように・・!
 「この道はいつか来た道・・」と言う人生堂々巡りにならないように、この丑年は自分の日々の行動を180度変えましょう。そして自分の人生のしっかりとした根っこを着実に根回しして準備しましょう。
 「風が吹いたら、風まかせ」にあっちへこっちへ漂わず、もう一度「なぜ何の為に?」を、自分に問い直しましょう。そして新しいことに大いにチャレンジして、この一年決して地表に芽が出ないからと焦らず、地中にしっかり根を伸ばしましょう。

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